『深夜1時の街の片隅で二人の青年と少女が向い合っている。
中肉中背の青年と小柄な少女である。 青年の方は高校生くらいだろうが少女は恐らくまだ中学生にもなっていないであろうほど幼く、こんな時間にこんな場所で見かけるようなものでもない。 「覚悟は良いだろうな」 青年が抑えこんだ声でそう言う。 「望むところよ!」 少女はやはり幼さを感じさせる高い声で言い返す。 一体この二人はなんなのか?どういうつながりがあるのか? 「行くぞ」 言うなり青年の右手に長さが2mはあろうかというそれ自体が蒼く輝く 一振りの槍が現れる。しかし一体何処から出したのだろうか?そんなそ ぶりなど見せなかったしそもそも隠しておくような場所などない。 「なめないでよね!」 少女の手にもいつのまにか弓が握られている。 「怒れる炎よ、我が意志に従いなさい!」 少女が叫びながら弓を引いた瞬間、矢が燃えながら青年に向かって凄まじいスピードで飛んでいく! 「・・・・・・」 だが青年は手にした蒼く輝く槍で無造作にそれを打ち払った。 「光の槍よ、その力の片鱗を示したまえ」 呟きながら明らかに届かない間合いから青年が槍を突き込むと、槍からさらに強い光が少女に向かって迸る! その光が少女に当たった瞬間、 「くぅぅ・・・!」 少女が吹き飛ばされたではないか!いったいあの光にはどのような力が秘められていたというのだろうか?少女は優に5mは吹き飛んだだろう。 「まだやるか?」 槍の切っ先を突き付けながら青年が少女に問い掛ける。 「・・・降参よ」 少女は力無くそう言った。 「では弓を壊させてもらう」 言うなり青年は槍で弓を軽くついた。だがどのような力が働いたのかそれだけで弓は粉々になってしまった。もはやこれが弓だったと解かる人間は居ないだろう。 「もしかしてあなたが『蒼穹』の称号を持つって言うウィザードなの?」 少女が苦しそうながらも青年にそう聞いた。だが青年はなにも応えなかった。いや、どう言うわけかすでにそこに青年は居なかった・・・。 全てのものには裏がある。それは物に限らず政治や性格などのような形のないものにも当てはまる。それは当然世界にも当てはまることなのだ。 この物語は世界の裏側に生きる一人の青年の物語である』 「なんてストーリーを作ってみたんだけどどうかな?」 「・・・あんまり良くないと思う。リアリティーがなさ過ぎるよ」 作家志望だという友達の相談に俺はそう言ってしまった。なぜならばこの物語のストーリーがあまりにも今の俺の状況に似ていたからだ・・・。 VS.サラリーマンへ続く |